資本主義経済の幻想 コモンセンスとしての経済学

資本主義経済の幻想―コモンセンスとしての経済学

資本主義経済の幻想―コモンセンスとしての経済学








論壇の第一人者が
核心に斬り込む
注目の経済論集


「ニューエコノミー」論は俗説、
アメリカ経済に
奇跡は起こらない。


注目を集める「ニュー・エコノミー」論批判

二十一世紀も末となって資本主義のグローバル化は、
アメリカの繁栄の一方でヨーロッパの停滞、アジアの混乱と明暗を分けているかに見える。
この間、資本主義経済をめぐる見方は楽観・悲観を含めてさまざまな議論が生まれた。
アメリカで沸き起こった「ニュー・エコノミー」論を、
クルーグマンはこれを根拠のない幻想として批判、楽観主義を排してきた。

ウィンストン・チャーチルが、いままでに試されてきたさまざまな政治形態の中では、
民主主義は最悪の制度であると言ったのは有名である。


グローバルな資本主義の本質とは何なのだろう。

興味を抱かせるために十分に複雑なものには、本質などない
    ダニエル・デネット 哲学者

市場は利用すべきメカニズムではあるが、価値の源泉であるとは考えていない。


ヨーロッパとは違って、日本経済はこのところ、
その純真な賞賛者たちの期待に反するばかりか、
ほとんどの人々の予測を下回る実績しか上げていない。

ある見方をすれば、日本は、
1930年代のアメリカに非常によく似ているように思える。

高度な生産力を持つ工業社会が誤って金融危機に遭遇し、
限りなくゼロに近い金利と、財政赤字を伴う大規模な財政支出によって
経済を蘇生させようとしたにもかかわらず、
経済を回復させることができないでいる。


日本経済の問題の一つは、不良債権を処理できないことから、
銀行システムが有効に機能していない点にある。


サービス部門が過度な規制と競争が不足していることから、
経済を活性化するのに必要な投資需要を創り出せずにいる点も問題である。


大蔵省にも、多くの責任がある。

大蔵省は、経済が回復の兆しを見せはじめるときまって税率を引き上げ、
あたかも、経済を停滞させておこうと決意しているかのようである。