e-ビジネス 企業変革のロードマップ
- 作者: ラビカラコタ,マルシアロビンソン,Ravi Kalakota,Marcia Robinson,渡辺聡
- 出版社/メーカー: ピアソンエデュケーション
- 発売日: 2000/04
- メディア: 単行本
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決定版
e-ビジネスの企業革新
e-ビジネスで勝ち抜くための ロードマップ
新しい経済、新しい仕組み、新しいルールが生まれようとしている。
顧客から企業への双方向の情報・商品の新しい流れは、
既存企業の経営陣を震撼させ、伝統的なビジネス価値の見直しを迫っている。
このまったく新しい世界で企業が勝ち残るには
「事業基盤の構造的な変革を行い、e-ビジネスにすべてをシステム統合するしかない」
デジタル経済における競争力と富の源泉は、
情報技術の活用、品質改善、プロセス・リエンジニアリング、
迅速で効果的な意思決定、エンパワーメントといった経営技術ではない。
ビジネスモデルの革新である。
20世紀の富は、産業化時代の企業によって創出されてきた。
その企業形態は明確な特徴をもって確立されてきた。
組織は、ピラミッド型の命令系統と内部経済性によって構造化され、
出版・放送技術によるマーケティング活動が収益拡大に貢献した。
この時代に開発された情報技術アプリケーションは、上記の前提条件を具現化したものであった。
ところが、世界が放送技術から双方向型パラダイムに移行するにつれ、
この前提が大きく変化し始めた。
インターネットによって成長した新たな経済基盤は、 企業に関する様々な前提条件に対して再検証を迫っている。
偏在性、耐久性、帯域幅、機能共に発達したネットワークが、
まるで皮膚のように地球全体を覆いはじめ、富を創造する新たなビジネスモデルが出現した。
e-コマースは、競争のルール、アクションのスピード、 リーダーシップの本質を変化させている。
すべての経営者がこの変化を実感している。
彼らの企業はe-コマースの分岐点に立ち、目前には幾多もの道があるが、
いずれが成功へと続くのかは誰にもわからない。
行く手にはどんな障害が待ち受けているのか?
どのようなビジネスモデル、経営戦略、戦術が企業に成功をもたらすのか?
どこに助けを求めるべきなのか?
・苦悩する他社を尻目に、特定の企業がe-コマースで成功しているのはなぜか? ・どのようなビジネスが、顧客の問題に対して差別化された解決策を提供しているのか? ・成功企業は、いかにして既存のアプリケーションから新たな統合e-ビジネスアーキテチャに移行しているのか?
e-コマースの準備は万全だろうか。
既存企業の経営者たちはこの新現象を理解しようと必死だが、
それらの企業がe-コマースを理解し始めた途端に、
今度はe-ビジネスという波が押し寄せて来ている。
激化する競争環境とe-コマースのもたらす市場機会は、 旧来型の企業に柔軟、敏速で顧客指向のe-ビジネスモデルの構築を迫っている。
言い換えれば、企業全体がその本質から変容を遂げつつあるのである。
そして、構造的進化の次段階こそがe-ビジネスである。
e-ビジネスを理解しているだろうか。
e-ビジネスは、高度なビジネスモデルが必要とするビジネスプロセス、
事業アプリケーション、組織構造の複雑な融合体である。
そのメッセージは単純で、e-ビジネス基盤への移行なくしては、
e-コマースの効果的な実行は不可能なのである。
「ものの見方を変えるということは、競争、行動原理、ビジネスモデルの見方や捉え方の枠組み自体に疑問を持つことだ」 ジョン・シーリー・ブラウン(ゼロックスの首席サイエンティスト)
デジタル経済においては、いったい何が企業を成功させる源泉となるのだろうか。
先進的なビジョンを持つ企業は、
既存のビジネスモデルと組織構造ではe-コマースの時代に生き残れないことに気づいている。
先進的な企業のビジネスを一見するだけで、
いかにビジネス、情報技術、業務プロセスが最適な形で統合されているかがわかる。
彼らは次世代の顧客主導型ビジネスへの変容を目前にして、
史上空前の規模で事業全体にわたるビジネスプロセス、アプリケーションシステム、
情報システム基盤の統合が必要となることを確信している。
事業全体を情報技術によって統合した新たなビジネスモデルを「e-ビジネス」と呼ぶ。
1. e-コマースによって、顧客ニーズの優先順位がどう変わっていくのか?
2. 顧客ニーズの変化に対応するビジネスモデルをどうやって構築するのか?
3. 生き残り繁栄するためには、何に対して情報化投資を行うべきなのか?
経営戦略について自問自答してほしい。
自社の経営幹部はe-ビジネスの構築による業界再編の方向性を明確に理解しているか? 業界レベルの変化を捉える視点に、歪んだ前提条件や盲目的な固定観念が入っていないか? 想定外の新規参入ライバルがもたらす脅威に気づいているか? 手遅れになる前に彼らは率先してビジネスモデルの再構築を進めようとしているか? 競争ルールの変化にいやいや追従するより、 自らルールを創造すべく戦略に優先順位を付けているか?
率直に自社の変革に対する姿勢をみてみよう。
経営陣はどのように戦略を実行するかについて理解しているか? 新世代の統合アプリケーションによって 事業全体のプラットフォームが変容しつつあることを認識しているか? e-ビジネスの前提条件となる複雑な業務アプリケーションの統合と導入におけるリスク、 課題、阻害要因を理解しているか? e-ビジネスのバックボーンとなるサプライチェーン・マネジメントのような 企業間アプリケーション構築のための要件について理解しているか?
世界中の個人と企業が刻々とオンラインでリンクされつつあるという社会現象は、
e-ビジネスを確実に促進している。
表面上は目立たなくとも、
企業と消費者が低コストのデジタル・ネットワークでつながったことは、
蒸気機関、電気、ベルトコンベア式生産などの発明に匹敵する。
e-ビジネスのルール
ルール1 情報技術は事業戦略に付随するものではなく、出発点であり原動力である。 ルール2 構造を合理化し、情報の流れをコントロールする能力は、 物理的な製品の製造・移動よりはるかに低コストで効果的である。 ルール3 陳腐化したビジネスモデルへの固執は、事業自体の失敗につながる。 ルール4 新たなビジネスモデルは、企業間で柔軟なアウトソーシング・アライアンスを形成し、 コスト削減のみでなく顧客の満足度を高める必要がある。 ルール5 e-コマースは顧客の声を聞く仕組みをつくり、 「低価格」「ブランド力」「高品質」のいずれかの提供を可能にしなければならない。 ルール6 情報技術を製品生産のためだけに利用するのではなく、商品選びや注文、 アフターサービスまでの全プロセスを革新し、強化するために活用する。 ルール7 今後のビジネスモデルは、 流動的なe-ビジネス・コミュニティの形成による顧客ニーズの充足が鍵となっていく。 ルール8 経営陣にとって困難な作業は事業戦略、業務プロセス、情報システムを 迅速かつ的確に整合させることであり、強力なリーダーシップが不可欠となる。