悲劇は起こりつつあるかもしれない 5つのDを克服する日本経済10

悲劇は起こりつつあるかもしれない―5つのDを克服する日本経済10の処方箋

悲劇は起こりつつあるかもしれない―5つのDを克服する日本経済10の処方箋







未踏の困難に立ち向かう
日本経済に
奇跡は再び起きるか。

日本がいま緊急に取り組まなければならない課題を
5つのDとして示し、
必要かつ実行可能な施策を提言する

日本は今や、世界のお荷物になってしまった感がある。

日本は以下のような五つの構造変化に迫られている。
①過大な負債(Debt)
②デフレ化した資産市場(Deflation)
債務不履行の急増(Default)
高齢化社会への移行(Demography)
⑤生産性の悪化と過剰な規制(Deregulation)

日本企業が抱えている負債は自己資本の四倍にもなる。

公共部門の負債総額はGDPの1.5倍を超え、
政府財政赤字も拡大する一方であり、
このような状態に長く耐えていけるものではない。

日本の株式、不動産の市場は、なお非常に割高な水準にある。

高価格を人為的に形成してきた機構・規制面の諸要素が
排除されつつあるとはいえ・・・

企業の倒産が急増中で、
GDPに占める倒産企業の負債総額の割合は戦後最高である。

アメリカの大恐慌時、
また1990年代初頭のS&L(貯蓄貸付組合)などの
銀行大倒産のときよりも高い水準にある。


資本の効率化、実質購買力のアップ、
そして経済成長を長期的に可能とするためには、

もっと規制緩和が必要である。

しかし、デフレ傾向はさらに続き、
企業の倒産もなお増えそうである。


進行中の「金融ビッグバン」は、むしろ、競争力のない、

負債額の大きな企業の「ビッグバンクラプトシー(大倒産)」になりかねない。
企業の資金調達は、金融市場における政府の操作のために妨げられている。

大蔵省のいわゆるPKO(株価維持操作)は、株式市場を、
自然な状態で得られる価格よりもはるかに高い水準に維持している。
株価が伝統的なリスク・リターンの関係によって
合理的に決まる水準にまで下がって初めて、
企業も自己資本改善のために十分な資金を呼び込めるだろう。

日本の銀行は、所有株式の評価益を資本のなかに組み入れることができる。

もし、この人為的な下支えが取り払われたら、

日本の多くの銀行はその膨大な不良債権のために倒産してしまうだろう。

財政投融資計画(財投)は、
郵便貯金、簡易保険、国民年金の預貯金などを原資として、
広範に銀行と競合するなかで運用や投資を行っている。

財政投融資計画(財投)の不良債権総額は、
日本の銀行が認めている不良債権総額を上回ると見られる。