ブラーの時代 eコマースの新・経営戦略

ブラーの時代―eコマースの新・経営戦略

ブラーの時代―eコマースの新・経営戦略








eコマースへの新視点

ブラー=スピード×
    コネクション×
    無形物

インターネットの世界的な普及、
情報伝達メソッドの飛躍的な進歩などにより、
私たちの社会や生活、
そして何よりもビジネスが大きく変わろうとしている。

いったい何が、どのように変わり、その結果どうなるのか。

《経済は資源を使って欲求を充足する》
「経済」とは、
人々が資源を使って自分たちの欲求を充足する手段である。
その具体的な方法は歴史の中で何回か変化し、
今また変化しようとしている。

今回の変化を引き起こしているのは、
「コネクション」「スピード」そして「無形物」の価値の増加という、
三つの力である。

私たちがこの変化の嵐に巻き込まれたのはごく最近のことだ。
だからこそ物事があいまいになっているようにみえる。
人々が密接に結びつき、その間の境界があいまいになるいわば、

「コネクション」の「ブラー化」が起きている。

また、ビジネスが急激に変化し、自分の状況を把握できなくなる。

いわば「スピード」の「ブラー化」が起きている。

さらには時代の動きがあまりに急で、
物的な資本は資産というより負債となる、

いわば「無形物」の価値の「ブラー化」が起きている。
情報や関係のもつ価値はますます増大しているが、
これらは実際に見ることができないし、
その多くは測ることさえできない。

金のために働いたり、商品やサービスに金を払ったり、
二つの組織をはっきり区別したりといった、
私たちがよく知っているやり方は、みんなあいまいになってきた。


スピード・・・ビジネスと組織のあらゆる局面が、
       リアルタイムで動き変化している。


コネクション・・・あらゆるものが電子的手段でコネクトしている。
         物も人も企業も国も、すべてが結びついている。


無形物・・・すべての製品・サービス(オファー)には有形と無形があるが、
      無形物の価値のほうが急速に増大している。


ブラー・・・あなたの生活と仕事の場となる新しい世界。

「スピード」「コネクション」「無形物」
(それぞれは時間、空間、物質の派生物)は、
ルールをあいまいにして、
私たちのビジネスと生活を新たにつくりかえようとしている。

比較的緩慢でコネクションのない工業世界で有効だった、
大量生産、区分価格、画一的な作業といった手法は、
今や崩壊しつつある。


「ブラー」の世界では製品とサービスが融合する。

買い手が売り、売り手が買う。家が職場になる。
構造とプロセス、所有と使用、知識と学習、
現実と仮想のちがいはもはや明らかではなくなる。

従業員と雇用主を区分けするものはますます減っていく。

資本(それ自体、資産であると同時に負債であるのだが)の世界では
価値が急速に変動するために、
ストックとフローを区別できなくなる。