人類は絶滅する

人類は絶滅する―化石が明かす「残された時間」

人類は絶滅する―化石が明かす「残された時間」

目次

1 現在は過去の一部だ
2 大絶滅
3 カオスから誕生した系
4 恐竜の時代から現代まで
5 なぜ、それほど名前にこだわるのか?
6 現生人類が起こしている絶滅事変
7 人類と未来


日経BP企画
人類は絶滅する 化石が明かす「残された時間」
著者はイースト・ロンドン大学の古生物学教授。著者が参加する同大学の研究チームは、化石、現生の動植物、岩石、化学物質など、膨大なデータを集めたデータベースを構築した。本書はこのデータを数学的に解析し、生物種・生物群の絶滅、発生、多様化のプロセスを探り、環境と進化の関係を追求する。

生物多様性の変化から、地球には過去、“5大絶滅”があったことを明らかにする。隕石落下など、生物界の外からの原因で起こった5大絶滅は、その後の多様性増加の起爆剤となった。大規模変化による進化は、指数関数的に急激に起きる。「進化はよどみなく進行する」としたダーウィン進化論を否定した新説である。

さらに、現在の地球が次なる大絶滅に向かいつつあることを示す。著者のグループは、生物がみな同様の繁栄と衰退の過程をたどり絶滅していくことに着目し、動植物の発生から絶滅までのプロセスを示す数式モデルを考案する。これに当てはめて考えると、人間を含むほ乳類は9億年後に絶滅するとの結論に至る。ただし、これは、地球が内外からの干渉を全く受けなかった場合の話である。

砂山を自ら崩している人類

本書は地球を一個の複雑な系(システム)だと主張し、“砂山モデル”で解説する。砂粒が堆積たいせきし、形成する砂山は、円錐形えんすいけいが一定の高さに達すると、斜面のあちこちで小さな崩落が始まる。が、砂山は一個のシステムとして、円錐形を内側から維持しようと働くため、すぐに大きな雪崩とはならない。自身を制御し、内包する様々な力によって変化する。

地球も砂山と同様で、崩れやすく脆弱ぜいじゃくだが、自己組織化されたシステムで、自己維持能力が働く。だが、我々人類は今、「砂山を足で蹴って崩しているところ」であり、ほ乳類の絶滅は数式モデルの予測よりはるかに早くなる可能性を秘める。利己的で攻撃的な性向を持つ人類の「砂山崩し」は4万2000年前、祖先がアフリカを出て北上した時から始まっているとも指摘して、6度目の大絶滅事変の中にある地球の将来を憂慮する。

(日経エコロジー 2006/03/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)


出版社 / 著者からの内容紹介
 およそ地球に住むどんな生物も同様の繁栄と衰退の過程をたどり絶滅していく。人類もまた例外ではない。しかも人類は環境を破壊して、みずからの寿命を縮めている。はたして私たちに残された時間はあと……? 世界最大の化石データベースをもとに、なかば定説化された巨大隕石による恐竜絶滅説に疑義を投げかけて、欧米の科学界に激しい議論を引き起こした話題の科学ノンフィクション。

内容(「BOOK」データベースより)
世界最大の化石記録データベースをもとに、諸科学の最新成果を加味して描き出された全生物共通の「繁栄と衰亡」の進化パターン。人類も恐竜と同じ運命をたどる。

内容(「MARC」データベースより)
6度目の「大絶滅」はいつ来るのか? 世界最大の化石記録データベースをもとに、諸科学の最新成果を加味して描き出された全生物共通の「繁栄と衰亡」の進化パターンから、人類は自ら破滅への道を突き進んでいると警告する。